日本にはさまざまな種類のお茶が存在しており、まだまだ認知度が低いお茶も多くあります。
しかしながら、効果や効能などに優れ、徐々に健康的なお茶などが人気を高めていますね。
近年、日本は健康ブームとなり、健康器具や体操・食事・飲み物・サプリメントなどの人気も高まっています。
お茶は「渋い」「苦い」といったイメージがありますが、中には自然由来の甘さの強いお茶というものがあります。
甜茶や甘茶がそのひとつであり、砂糖などと違い自然の甘さのお茶です。
「甘茶って何?お茶に砂糖やはちみつなど甘いものをたしたお茶?」
「生薬としての甘茶もあるけど、身体によい効果や効能はあるの?」
「甘茶を自宅でも楽しみたい!おすすめの市販の甘茶を教えてほしい。」
など、甘茶に関する疑問の声がネットでも多く挙げられています。
甘茶を飲んだことがない人も多く、出会う機会がなかった人もいるでしょう。
今回は、甘茶についてどのように作られているのか、まだどんなときに飲まれているのか、効果や効能・副作用について、自宅で飲むことができるのかなどについて詳しくご紹介していきます。
爽やかな麦茶やウーロン茶も美味しいのですが、ときには甘いお茶が飲みたくなることもありますね。
そんなときには、自宅で健康によい甘茶を飲んでみてくださいね。
甘茶を知らなかった人、甘茶を飲んだことがありまた飲みたくなった人、甘茶の作り方を知りたい人、妊婦さんやカフェインが苦手なかた、お客様のおもてなしで甘茶を出す方など、さまざまな人の参考になれば幸いです。
甘茶とは

まずはあまり知られていない甘茶について詳しくご説明していきます。
アジサイと甘茶
お茶の原料と言えば、「茶ノ木」を想像しますが、茶葉以外にもいろいろな植物からできるお茶があります。
甘茶もそのひとつで、「アマチャの木」から作られています。
アマチャの木とは、アジサイ科アジサイ属ガクアジサイの変種であり、見た目はアジサイのようです。
ヤマアジサイの成分変異株として「甘い!」と民間で発見されたと言われています。
主に、日本の中部地方に自生する落葉性の低木で、葉は生薬としても利用されています。
長野県で多くが栽培されており、富山県や岩手県でも栽培されています。
「アマチャヅル」という似た名前の植物があるのですが、こちらはウリ科の植物で別物です。
飲まれ始めたのは江戸時代以降からであり、当初は民間薬として利用されていました。
甘いお茶の代表である甜茶(てんちゃ)は、中国薬草を利用して作られており中国茶のひとつですが、甘茶は日本に生息しているアマチャから作られているので日本生まれのお茶なのです。
花祭りで飲まれている

「花祭り」という釈迦の誕生をお祝いする仏教行事をご存知ですか?
「花行事」や「灌仏会(かんぶつえ)」とも呼ばれており、そのお祭りの際に古くから甘茶が利用されています。
花祭りの歴史はとても古く、聖徳太子時代の606年から始まったという説もあります。
お祭りでは春の花が綺麗に飾られたお堂で、甘茶が入った水盤があり、仏像に甘茶を注いで参拝します。
これは、釈迦が誕生したときに、九頭の竜が天から甘露を吐き、産湯を満たしたという伝承から、甘茶が使われるようになったといわれています。
現在は、寺院が経営する幼稚園や保育園で稚児行列の際に甘茶を頂く日が設けられています。
そのため、「両親は飲んだことがないけど、幼稚園で子どもが飲んできたよ。」という話も耳にします。
おみやげに「あまちゃあめ」を持ち帰ってくることもありますよ♪
もちろん、花祭り以外でも飲まれており、甘茶の美味しさや効能から、少しずつ健康茶としても流通してきているこの頃です。
―参照 灌仏会|Wikipedia(ウィキペディア)よりー
甘茶に含まれている有効成分

甘茶には他のお茶には含まれていない成分も多く検出されています。
- フィロズルチン…甘味成分。
- イソフィロズルチン…甘味成分。
- タンニン…ポリフェノールのひとつ。
- ルチン…別名ビタミンP。
自然由来の甘味成分が含まれており、甘さは砂糖の主成分であるショ糖の400倍以上あります。
他にも比較としては、ガムや清涼飲料水などに使われている人工甘味料のサッカリンの2倍の甘さがあります。
人工的な甘さが苦手なかたもいらっしゃいます。ぜひ甘茶の自然な甘さを味わってみてくださいね。
甘茶の作られ方

アマチャは、加工調整して発酵することにより甘さが出てきます。
夏場に葉を採取して水洗いし、2日間ほど天気の良い日に天日干しにします。
カラカラになったところに水を噴霧して、さらに1日発酵させます。
その後、手で葉をよく揉んで、さらに乾燥させて仕上げるのです。
この工程があるから、甘味成分が出てくるので美味しい甘みのあるお茶が出来上がります。
生の葉を食べてみると、全くと言ってよいほど甘味はなく、苦みが強く食べられません。
苦み成分であるグルコフィロウルシンが含まれており、発酵することにより、
甘味成分であるフィロズルチンに変化していきます。
―参照 釈迦の生誕を祝う花祭りでもおなじみの「アマチャ」|養命酒公式ホームページよりー
甘茶の味~おいしい?まずい?

甘味成分が含まれていて、お祝いの祭典にも利用されている縁起のよい甘茶。
どのような味がするのでしょうか?
「独特な甘さがある。」と表記されているものもあるので、気になりますね。
実際に甘茶を飲んだことがある人の感想や意見をまとめてみました。
- 紅茶のストレートに砂糖を加えたような上品な味わいがする。
- 養命酒のような甘い薬の味がした…。
- 初めて飲んだけど、甘くて飲んだ瞬間笑ってしまいました。幸せな味✨
- 甘茶を飲んだ後に、砂糖が入っているんじゃないかと原材料を確認してしまうほど甘い。
- 後からくる甘さがある!
- 麦茶に砂糖を入れたような味わい。
飲んだ感想のほとんどには「甘い!」という文字が入っていました!
その甘さが薬のように感じる方もいれば、幸せな甘さと感じる方もいました。
甘茶の6つの効果と効能~ダイエットや便秘改善効果はどう?

甘茶に含まれている成分をご紹介しましたが、身体にどのような良い効果をもたらしてくれるのでしょうか。
効果や効能とその理由について、詳しくご説明していきます。
シミやくすみを防ぐアンチエイジングの効果
甘茶には、タンニンが含まれています。
タンニンはポリフェノールの1種であり、紅茶や緑茶などの渋み・苦みのもとでもあります。
ポリフェノールは自然界には5,000種類以上存在していて、そのひとつがタンニンです。
また、紅茶などにも含まれており、鮮やかな色を出すために欠かせない成分でもあります。
タンニンには抗酸化作用があり、肌にメラニンが増殖したり沈着したりすることを抑える働きがあります。
そのため、女性の肌の悩みにも多いシミやくすみを防ぐ効果が期待できるのです。
抗酸化作用とは、肌のシミや髪の毛つややかさなど酸化で起こる作用をストップする働きです。
そのため、シミやしわの予防に繋がり、アンチエイジング効果が期待できます。
また、タンニンはたんぱく質と結合する働きがあり、たんぱく質を変性させます。
変性したたんぱく質は、組織を縮める収れん作用をもっており、毛穴や皮脂腺を引き締める効果があります。
毛穴の開きが気になる人や、シミ・しわなどの予防にもおすすめの飲み物です。
―参照 収れん作用|Wikipediaよりー
―参照 お茶のタンニン|一般社団法人日本植物生理学会公式サイトよりー
ダイエット効果が期待できる

まず甘茶はノンカロリーです!ダイエット中にはカロリー量も気になりますが、安心してくださいね。
甘茶に含まれているタンニンには、体内に取り込まれた脂肪を分解させずに、体外へ押し流す働きもあり、脂肪吸収を抑制する効果もあります。
さらに、ダイエット中には甘いものを食べたくなるときが来ます。
そのときに我慢すると余計にストレスになってしまい、ダイエットが長続きしないことも…。
そこで、甘さの強い甘茶を飲むことで、甘いものが欲しい欲求を満たしてくれるので、ダイエット中に嬉しい飲み物なのです。
下痢の緩和や改善効果がある
アンチエイジングでも紹介したタンニンの収れん作用は、腸にも効果があります。
タンニンは、腸の粘膜の痙攣を抑える作用ももっているのです。
そのため、ゆるい便が硬くなり下痢の緩和に繋がります。
個人差はありますが、よく下痢になる方はタンニンが含まれている甘茶などを一緒に飲むことで、症状が改善されることがあります。
昔ながらの処方としても「下痢にタンニン」という話は有名ですね。
―参照 昔ながらの処方、下痢にタンニン|一般社団法人秋田県薬剤師会ホームページよりー
虫歯や口臭・歯周病の予防になる

甘茶などのお茶に含まれているタンニンには、虫歯のもとになるミュータンス菌の増殖を抑える働きがあります。
「甘茶は歯周病の予防効果がある!」と言われていますが、タンニンパワーによるものです。
虫歯は、ミュースタンス菌が歯にくっつき酸を作り、歯の表面のエナメル質を溶かすことでできます。
唾液などがとどまる夜の間、ミュースタンス菌は増殖し、乾燥した口内でも増えていきます。
増殖を抑えることで、虫歯や菌からでる口臭の予防ができるのです。
食後や口の乾燥を感じたときなどに、タンニンを含むお茶などを飲むことで効果が期待できます。
またタンニンは、体臭を予防する効果もあることから、石鹸やシャンプー、制汗剤などのデオドラント製品にも利用されているんですよ♪
デトックス効果と利尿作用がある

タンニンは新陳代謝をよくする働きもあり、老廃物を身体の外に出す働きがあります。
そのため、身体に溜まった必要ない水分などが体外に出やすくなり、むくみ解消に繋がります。
カフェインが入っていると利尿作用というイメージが強いのですが、タンニンも同じ効果をもっているので、ノンカフェインでもデトックス効果が期待できる飲み物です。
抗アレルギー作用や花粉症対策にも良い
甘茶には甘茶メタノール抽出エキスが含まれていることがスクリーニングで発見されました。
メタノール抽出エキスには、抗アレルギー作用や歯周病原因菌への抗菌作用、抗酸化作用、胃の粘膜保護作用などがあることが分かってきています。
ラットでの研究により、アレルギー反応であるアナフィラキシーに対して強い抑制作用が発見されています。
マウス実験では、免疫調節作用があることも発見されています。
さまざまな研究結果からも抗アレルギー作用があることが実証されており、日本薬局方にも生薬としての抗アレルギー作用・歯周病効果について収載されてあります。
そのため、花粉症やアトピーに効果があるとして飲まれているかたも多いようです。
―参照 天然素材サプリ 甘茶|漢方薬のきぐすり.comサイトよりー
甘茶のカフェインはどれくらい?妊娠中の妊婦は飲んでも大丈夫?

甘茶には、むくみ解消などのデトックス効果やダイエット効果などもあるので、妊婦さんや授乳中の方に嬉しい効果がたくさんあるお茶ですね。
しかし気になるのはカフェインの量。カフェインが苦手な方も気になるところです。
妊娠中、特に妊娠初期はカフェインの過剰摂取により流産のリスクが高くなるとされています。
そのため、食品安全委員会などでは、1日のカフェイン摂取量が推奨されており、妊娠中の人は200㎎以下が望ましいとされています。
ちなみに、コーヒーには100mlあたり60㎎~80㎎ものカフェインが入っています。
甘茶にはお茶の渋み成分であるタンニンは含まれているのですが、カフェインは含まれていません。
そのため、妊婦さんやカフェインが苦手な方でも安心して飲んでいただけます。
ただひとつ、副作用として厚生労働省でも注意喚起されているのですが、食後に嘔吐などを引き起こす事例が発表されています。
保育園の花祭りで甘茶を飲んだ園児の119人のうち28人が30~1時間後に嘔吐した例。
神奈川でも花祭りで甘茶を飲んだ小学生の約半数が、気分が悪くなり10~30分度に嘔吐した例。
などが挙げられていますが、1日以内に症状は良くなったとのことです。
アマチャに有害成分が入っているという説もありますが、実際に調べてみると報告はなく、さらにシアン化合物が検出されたとの報告もあったのですが、普通にいれた甘茶では検出されていませんでした。
何が原因で中国になったのかまだはっきりとはしていませんが、厚生労働省は
- 濃い甘茶を避けること。
- 2~3gを1リットルの水で煮だすこと。
と注意して、薄く煮だすことが大切としています。
―参照 自然毒のリスクプロファイル:高等植物:アマチャ|厚生労働省公式サイトよりー
甘茶のいれ方、作り方とおすすめの飲み方

甘茶の美味しいいれ方
甘茶を植物から作るという方は少ないので、市販の甘茶の茶葉を使った美味しいいれかたをご紹介します。
大きなやかんなどで煮だす時には、1リットルあたり2~3gの茶葉量として作りましょう。
急須やマグカップでも作ることができるティーバッグの場合には、基本的に沸騰させたお湯を注ぎ2~3分待ち、茶葉を取り出しましょう。
あまり長く時間をかけてしまうと、タンニンの苦い成分が多く抽出され、苦みを感じる甘茶になってしまうので注意しましょう。
飲みやすくするためのアレンジ方法
健康のために甘茶を毎日飲んでいる場合には、途中で甘茶の味に飽きてしまうこともあります。
さらに、甘茶の甘さだけでは飲みにくいという方には次のようなアレンジ方法がおすすめ!
- レモンスライスやレモン果汁を加える。
- ミントと炭酸を加えてスッキリした飲み物にする。
- 豆乳やミルクを加えてミルクティーのようにまろやかにする。
甘さは強い甘茶ですが、クセは少ないのでアレンジしやすいお茶です。
好きなものなどを加えて、オリジナルの甘茶を楽しんでみてくださいね。
甘茶は楽天やamazonで買える?おすすめ3選

アマチャは日本全国で栽培されているわけではないので、なかなか手に入らないときには、市販の甘茶がおすすめです。
ティーバッグタイプもあるので、手軽に飲むことができますよ。
人気の甘茶についてピックアップしてご紹介します。
国産のあま茶
さまざまなお茶を販売しているがばい農園の健康茶の甘茶です♪
ピラミッド型のティーバッグタイプなので、エキスが抽出しやすくなっています。
有機JAS認定工場であり、残留農薬検査なども行っているので安心して飲むことができます。
ノンカロリー・ノンカフェインです。
梱包も丁寧で、迅速な対応が人気を呼び、リピーターも多い商品です。
詳しくはこちらからどうぞ。
聖なるお茶 甘茶

黄土色のパッケージで「聖なるお茶」と書いてあり、どこか神聖な感じをうける甘茶です。
ティーバッグタイプで、八女茶でも有名な九州の福岡県産100%です。
八女市の株式会社星野製茶が販売しています。
甘さは強いのですが、嫌な甘さではなく美味しいと評価の高いお茶です。
詳しくはこちらからどうぞ。
すいぎょく園 甘茶
国産で高品質、茶葉が入った花祭り用の甘茶です。
100g入っているので、約200人分作ることができます。
麦茶と割って飲む・茶殻をお風呂にいれて楽しむ・お供え物ように等さまざまな利用をされており、人気の甘茶となっています。
甘茶に関する情報やおまけのお菓子も一緒に送ってくださるので、心も温かくなります。
詳しくはこちらからどうぞ。
まとめ

自然の甘さで飲みやすい日本のお茶である甘茶。
昔幼稚園などの行事で飲んだことがあり懐かしい方もいらっしゃるのではないでしょうか?
自宅でも美味しく飲むことができるので、ぜひ楽しんでみてくださいね。
効果や効能もあり健康的なお茶のひとつなので、これからの人気が高まりそうです!